2020年2月24日に、学士会館(東京都千代田区)にて「う窩ない未来への同盟(ACFF)日本支部第3回記念講演会」が行われ、参加いたしました。
最初にACFF日本支部理事長の林美加子先生(大阪大学大学院歯学研究科教授)より、2019年ACFFの政策声明とICCMSのご説明がありました。ICCMSとは国際的なう蝕分類と管理方法のことであり、日本支部ではこれを日本の臨床および教育に浸透させることを目指しています。診断ではICDAS診断コードを用いることが提示され、日本国内の歯学部教育でも積極的に浸透させていくことが提案されました。
続いては田口円祐先生(厚生労働省医政局歯科保健課課長)より、我が国のう蝕抑制政策の現状と展望についてご講演がありました。う蝕罹患自体は減っているものの、12歳以降でのう蝕有病率や未処置歯の本数はまだまだ問題解決がなされていません。歯科疾患実態調査の数字に基づいた現状から、歯科における予防・重症化予防の今後の取り組みまで、さらには政策としてポピュレーションアプローチで予防医療がどこまでできるか、のお話がありました。
3番目の須貝明弘先生(須貝歯科医院理事長)からは、臨床現場からみたう蝕予防の現状と展望のご講演がありました。臨床実感としてう蝕は減っているのは確かなようですが、裂溝う蝕・隣接面う蝕の検出の難しさや、その対応について、長期症例や抜去歯での観察を用いてお示しくださいました。生涯を通じてキャビティーフリーを目指すためには定期的な診察が非常に重要で、う蝕予防は中学生からが本番、という印象的なコメントもありました。
最後のパネルディスカッションでは、ポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチ、さらには歯の部位(裂溝の各部位や近遠心隣接面)に分けた時のハイリスクアプローチについて議論が交わされました。また、今後は「健康な歯が健康でい続けている」ことに価値が置かれ、評価されるような仕組み作りに期待が高まっていくことが取り上げられました。
今後もACFF日本支部の活動を応援し、東北大学歯学部の学部教育にもしっかりと取り入れていこうと思います。ACFF日本支部関係者の皆様、誠にありがとうございました。